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はじめてのえのぐは12色で。 わたしの絵の先生は自分で色を作りなさいというので小学校中学年になるまで自分の作る色しかしらなかった。 やっと買ってもらった24色のえのぐはチューブが小さくてきれいな色がいっぱい入ってた。 でもそれが使えるのは学校だけ。 絵の先生の前ではやはり12色のえのぐ。 24色のえのぐのなかで大好きだった色は眠る前に見るセルリアンブルー。 自分でつくらない色はいつも同じ色を見せてくれた。 高学年になって油絵を描き始めた。 「ホルベイン」の油えのぐは学校でつかう「さくらえのぐ」と全然違っていて、油で溶くと発色がみたこともないものになる。 ここでもまた12色から色を作った。 だいすきなピンクを作った。 このピンクは24色えのぐにはなかった色だった。 絵の先生のもとを離れて何年かたった。 毎年「描いていますか?」とはがきをくれた先生からはがきがこなくなって心配になったわたしは手紙を書いた。 わたしの絵の先生はなくなる前の日まで絵筆を握って描いていたと先生の奥さんが返事をくれた。 「色を作りなさい」って言ってましたよと書き添えられていた。 わたしの色の感覚を教えてくれた先生に感謝とオマージュをこめて、大好きないろのこのきものを作った。
by yamamotoyumi
| 2006-12-01 01:27
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